2013年11月27日

北海道ソフトクリーム事件

★ 今から13年前、俺が高校生だった頃に起 きた珍事――通称「ソフトクリーム事件 」について記そうと思う。 ★ 高校二年の秋、俺たちの学年は修学旅行 で北海道へ行った。 楽しい旅行だった。特に夜が楽しかった 。 女子の部屋で女子たちとババ抜きをした り、ドラゴンボールの技名を発するオモ チャで同室の友人たちの眠りを妨げたり 、夜中、眠っていた友人が突然 飛び起き 「夢精した」と落ち込んだり 。 だけど、いいことはいつまでも続かない もので、悪夢のような事件は修学旅行最 終日に起きた。というか俺が起こした。 ★ 修学旅行最終日。自由行動の時間、俺と 友人三人は函館の市場を歩いていた 。 市場は人々で賑わっていた。 友人松下が「甘いもんを食いたい」と言 い出したので、俺たちは近くの甘味屋に 入った。――俺はふてくされていた。金 欠でソフトクリームを買えなか ったから だ。 店先のベンチでソフトクリームを食べる 松下を俺は恨めしそうな目で見つめてい た。 俺は我慢できず「一口くれ」と頼んだ 。 「イヤだ」松下はこちらを見ずに答えた 。 その無愛想な態度に俺は苛立ちを覚える 。「ちょっとだけでいいから」とさ っきよりも強い口調で頼んだ。 「てめえの金で買えばいいだろ!」松下 は吐き捨てるように言った。 俺はブチギレた。ソフトクリームをくれ ないことに対してではなく、金が無いこ とを知っててそんな台詞を吐くことに。 「――くれよぉぉっ!!!!!」 グチャ!! 「!?」 ――俺は松下の半分以上残っていたソフ トクリームを右手で思い切り握りつぶし ていた。(どうしてそんなことをしてしま ったのか、俺は今でもわからない)クリ ームが飛び散り、俺と松下の上着とズボ ンに付着した。 はっと我に返ったときには遅かった。 掌にはドロドロのクリーム。目の前には 驚きの余り固まった松下。他の友人たち も呆気にとられている。周囲の時 間の流 れが止まった……。 「安いよー!蟹が安ー――……」向かい にある魚屋のおばちゃんの時間も止まっ た。 俺はとりあえず掌のクリームを舐めた 。パニック状態だった。 遠くで俺達の様子を見ていた他校の不良 集団がこっちに来た。 「お前…。最高…!」そう言って不良の 一人が、俺に手を差し伸べ握手を求めて きた。なんだかすごい嬉しそうだ った。 「えっ?でも手ベタベタですよ!?」俺は すごく焦った。 「おう!気にするなよ!」不良はかなり 嬉しそうだった。 ガシッ!ピチャッ! ――その光景を見て松下は一体、何を思 ったのだろう。 ★ あのあと松下は怒らなかった。あんな理 不尽極まりないことをされて冷静でいら れる松下がとても大人に見えた。 一方、逆恨みで人のアイスを握りつぶす 俺は一体なんなんだろうとも思った 。(当時17歳) おわり





Posted by jrqyfdrrjk at 02:25│Comments(0)
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